独立インドでは、国民会議派の歴代首相の座を、初代首相ジャワハルラール・ネルー(在任1947~64)を筆頭に、その一人娘インディラ・ガンディー(1966~77、 80~84)、その長男ラジーヴ・ガンディー(1984~89)と、わずかな期間を除いて一つの家系が占めてきた。1998年以降は、現時点(2013)まで、ラジーヴ・ガンディーの夫人ソニア・ガンディーが国民会議派議長(党首)の職にある。2014年春に予定される次期連邦下院選挙では、国民会議派はソニア・ガンディーの長男ラーフル(1970年生まれ)を首相候補に擁立するとみられている。インド内外のジャーナリズムは、こうした国民会議派の世襲政治を「ネルー・ガンディー王朝」と呼んでいる。なお、「ガンディー」はマハートマ・ガンディーではなく、インディラの夫、フィーローズ・ガンディーの姓からきている。「ネルー・ガンディー王朝」は、インド独立運動への貢献を、あたかも遺産相続のようにして、独立後も国民会議派が独占してきたことから発生した現象である。しかし、広く親子関係による世襲政治という観点から見ると、それは国民会議派にとどまらず、現在ではインドの政党の多くに共通する現象となっている。ただし顕著な2種の例外がある。一つは共産主義政党とインド人民党という左右のイデオロギー政党であり、他の一つは、独身女性が党首となっている三つの有力な地域政党(アンナー・ドラヴィダ進歩同盟、バフジャン・サマージ党、全インド草の根会議派)である。(→「インドの地域政党」)