2017年5月、オーストラリア連邦議員の二重国籍を禁じた連邦憲法第44条に抵触する可能性があるとの疑いが浮上し、7人の議員が辞職を迫られた問題。同年10月、連邦最高裁判所は2人の議員資格を認め、残り5人については立候補時に二重国籍状態にあり、議員資格がなかったとして当選無効とした。当選無効とされた副首相兼農業資源相バーナビー・ジョイス国民党下院議員は、12月上旬の補欠選挙に立候補し、再選を果たした。また、自治相フィオーナ・ナッシュ国民党上員議員、ワン・ネイション党(→「ワン・ネイション党復活」)のマルコム・ロバーツ議員も当選無効とされた。緑の党のスコット・ラドラム(西オーストラリア州)、ラリッサ・ウォーターズ(クイーンズランド州)両上院議員は、ともに判決以前に辞任しており、そのまま辞任が認められた。副総理や現役大臣の議員失格でターンブル政権崩壊の危機も取りざたされたが、上院議員は繰り上げ当選、下院議員は補選による再当選などで乗り切った。二重国籍問題は、移民を先祖にもつ国民が多いオーストラリアではよくある話だが、オーストラリア国籍を取得した際に出身国の国籍から離脱する手続きを怠ったことが主な原因である。イギリス国籍との二重国籍問題が多いのは、かつての植民地時代の名残りだが、両親や祖父たちが国籍離脱を忘れたうえに、本人に知らせていないうっかりミスが多い。