保守主義、ポピュリズム、ナショナリズムを政治理念とする右派系少数政党。マオリ族の血を受け継ぐ元ニュージーランド国民党所属のウインストン・ピータース氏が、離党後の1993年に結成した。現在も党首は同氏。その政治理念は、(1)ニュージーランドの文化を守るためアジア系移民・難民の移住制限、(2)法と秩序問題強化、犯罪抑制のため刑罰の強化、懲役刑の強化、(3)ワイタンギ条約関連負担費用の軽減化など。他にも高齢者利益の増幅・保護、マオリ族出身者の地位向上や権利の保護を主張し、移民流入制限、国有財の民営化(とくに海外への国有資産の売却)などに強く反対する。他方、減税には賛成である。もちろんニュージーランド国民第一主義を主張する。93年の総選挙ではトゥ・ヘナレ議員(当時)とともに2議席を獲得したのみだが、96年の総選挙ではマオリ族出身者の票や高齢者票を中心にマオリ議席5議席を含む17議席を獲得。ニュージーランド国民党との連立政権に参加を表明し、ニュージーランド政界に衝撃を与えた。ピータース氏は副首相兼財務大臣に就任する。その後は選挙での浮き沈みを経験しながらも、ある時は国民党、またある時は労働党と連立政権を組みながらニュージーランド政局に一定の影響を与えてきた。近年では、主要政党の得票率が減少する中で、総選挙後の政権誕生のキャスティングボートを握ることが多く、ニュージーランドファースト政策の主流化が進んでいる。そのこともあり、2017年の総選挙で労働党が連立を組んだことに、ドナルド・トランプ米政権離脱後の環太平洋経済連携協定(TPP)協議の推進を求めている日本の政財界には衝撃が走った。同党はポピュリズム政党、あるいは極右政党として日本では紹介されることが多いが、オーストラリアのワン・ネイション党(→「ワン・ネイション党復活」)とは異なり、政治的には国民第一主義を言いながらも政策的には柔軟な対応をしている。