メキシコ以南のアメリカ大陸とカリブ海を指す。全部で33カ国。多くがスペイン、ポルトガルなどラテン系諸国の植民地だったために、北のアングロアメリカとの対照で使われる。ただしカリブ海にはイギリス、フランス、オランダなどの旧植民地がある。イベロアメリカ(Iberoamrica スペイン)とはスペイン、ポルトガルの旧植民地諸国である。またメソアメリカ(Mesoamrica スペイン)はメキシコ北部からホンジュラス、エルサルバドルあたりまで、アステカやマヤなどの古代文明が栄えた地域をいう。ラテンアメリカにおいてアメリカ(Amrica スペイン)という場合は一般に南北アメリカを指す。アメリカ合衆国は「Estados Unidos de Amrica スペイン」または「Norteamrica スペイン」(北アメリカ)という。ラテンアメリカは先住民、スペイン人やポルトガル人、奴隷として連れてこられた黒人に加えて、独立後に移民として到来したヨーロッパ系、アジア系など多様な人種が複雑に混交した混血社会である。メキシコ、グアテマラ、ペルー、ボリビアなどは先住民が、アルゼンチン、チリなどは白人が、カリブ海諸国は黒人が多いなど、地域や国によって違いもあるが、歴史、社会経済構造、言語など共通点も多く、そのために一体感が強い。歴史的にアメリカ合衆国の政治的経済的文化的影響を強く受けてきたが、19世紀初頭の独立戦争の英雄シモン・ボリバルは「北のアメリカ」に対する「南のアメリカ」の固有性を評価し、後者の統一を訴えた。この思想はアメリカ合衆国主導のパンアメリカニズムに対し、ラテンアメリカニズムとして脈々と受け継がれ、21世紀に入り、南米諸国連合(UNASUR)やラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)の成立など、徐々に結実している。