コスタリカ憲法は第12条で「恒常的制度としての軍隊を禁止する。公共秩序の監視と維持のためには必要な警察隊を置く」と規定され、日本国憲法と同じ非武装平和憲法として注目されている。ただし、「軍隊は大陸協定ないしは国防のためにのみ組織できる」として、再軍備の可能性を残している。常備軍はもたないが、武力を保持する治安部隊としては内務警察管轄下に市民警察隊(guardia civil スペイン)、地方警備隊(guardia de asistencia rural スペイン)、沿岸警備隊(guardia costera スペイン)等がある。非武装憲法は1948年の内戦のあと、49年に制定された。コスタリカは集団的自衛権をうたう米州相互援助条約(リオ条約→「米州関係」)の締結国だが、同条約加入に際しては海外派兵をしないことを宣言している。80年代の中米紛争時にはアメリカのレーガン大統領がコスタリカの再軍備を求めるなど、平和主義の維持が危ぶまれたが、当時のモンヘ大統領は83年に「積極的・永世・非武装中立」宣言を出して切り抜けた。2001年には12月1日を「軍隊廃止デー」に定めるなど、非武装主義は政府・国民レベルで定着している。むしろ、今日の政治課題は新自由主義経済政策導入の是非に移り、06年5月の大統領選挙では「穏健な導入」を主張する国民解放党(PLN)のオスカル・アリアス元大統領が42%の得票率で当選した。反新自由主義を唱える中道左派の市民行動党(PAC)のオトン・ソリス候補は41%だった。09年にはアメリカ、中米共同体(CAFTA)およびドミニカ共和国間の自由貿易協定(CAFTA-DR)に加盟した。その後、10年2月の大統領選挙でもアリアス政権の副大統領だったラウラ・チンチジャ・ミランダが46.9%の得票で当選し、同年5月に就任している。コスタリカ初の女性大統領である。