1980年代にはほとんどのラテンアメリカ諸国はマイナス成長、数百%あるいは数千%という激しいインフレ、失業者増大などきわめて厳しい経済状態に見舞われた。このため「無きに等しい10年」という意味で名付けられた。その原因は基本的には82年にメキシコに端を発する対外債務危機にある。すなわち債務返済のため国際通貨基金(IMF)の指導で超財政緊縮政策や徹底的な経済自由化政策がとられたため、70年代後半以来の不況に拍車がかかったものである。この政策は構造調整政策と呼ばれ、90年代前半には多くの国で経済成長が記録されたが、後半になると再び経済情勢が大幅に悪化したため「失われた5年」と名付けられている。(→「ネオリベラリズム」)