アルゼンチンは過去40年間に3回(1982年、89年、2001年)のデフォルトを経験しており、また、14年7月30日以降テクニカルデフォルト(債務返済は可能であるが、その利払いを実行できない状態)に陥っている。01年のデフォルト以降、対IMF(国際通貨基金)債務は06年までに完済し、対外国政府債務についても延滞債務を5年間で返済することで14年5月にパリクラブ(主要債権国会合)メンバー国と合意している。他方、民間債務については、05年と10年に債務額を約7割減額する債務交換を行った。しかし、ヘッジファンドを中心とする債務交換に応じなかった一部の債権者(ホールドアウト債権者)は、アルゼンチン政府のパリパス条項(債権者平等条項)違反を理由に同国国債の受託銀行のニューヨークメロン銀行が所在するアメリカ連邦裁判所に提訴した。そして、連邦地裁・控訴裁がともに原告を支持し、14年6月に連邦最高裁がアルゼンチン政府の再審請求を棄却したことにより、ホールドアウト債権者への全額返済なしには新債権者への利払いも実行できないことが確定した。フェルナンデス大統領は原告側を「ハゲタカファンド」と非難する一方で、国債の受託銀行を自国のナシオン銀行に変更する法案を可決させたが、問題解決には至っていない。