2013年6月にブラジル全土で発生した抗議デモのうち、FIFAワールドカップ開催反対を主張の一つに掲げていたもの。一連のデモのきっかけはサンパウロ市における公共交通機関の運賃値上げであったが、公共サービスが劣悪であるにもかかわらずワールドカップ開催に多額の公的資金が投入されていたことなどから、多くの学生や中間層も抗議の輪に加わった。そして、ワールドカップ開催反対、教育・保健医療における公共サービスの向上、汚職撲滅などを要求として掲げ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じてブラジル全土で100万人以上の市民を動員するデモへと発展した。「サッカー王国」におけるワールドカップ開催反対の動きは国内外のメディアに驚きをもって受け止められ、また、群衆の一部の暴徒化による治安の一時的な悪化が見られた。1992年のコロル大統領弾劾運動以来、約20年ぶりとなる全国規模のデモに対し、各地方自治体は公共交通機関の運賃値上げを撤回し、連邦下院はプレソルト海底油田のロイヤルティーを教育と医療に充当する法案を可決した。その後、ストライキや散発的な抗議運動などは見られたものの、ワールドカップ開催期間中には大規模な抗議デモは発生せず、大会は成功裏に閉幕を迎えた。