2014年10月のブラジル大統領選挙における現職のジルマ・ルセフ大統領の当選。就任当初は高い支持率を維持していたルセフであるが、13年6月の抗議デモを境に支持率が急落し、その後も経済状況の悪化や自身の関与が疑われる石油公社のペトロブラスをめぐる汚職問題の発覚などにより、支持率が大きく回復することなく選挙を迎えた。一方、野党のブラジル社会民主党はアエシオ・ネベス、ブラジル社会党は選挙運動中に飛行機事故で急逝したエドゥアルド・カンポスの後任としてマリナ・シルバをそれぞれ擁立し、一時はシルバが当選する可能性も指摘されていた。しかし、ネガティブキャンペーンもあってシルバは10月5日の第1回投票で敗退し、同月26日の決選投票は大接戦とはなったものの、ルセフがネベスを敗って再選を決めた。ルセフの勝因として、条件付き現金給付政策「ボルサファミリア」などの効果や、多くの支持者を抱え、かつ選挙連合を維持することのできる労働者党という全国規模の政党の存在などを指摘することができよう。この勝利により、ルセフ政権もルラ政権(03~10年)やカルドゾ政権(1995~2002年)と同様、2期目に突入することとなった。