2016年4月16日18時58分に発生した、エクアドル北西部の沿岸域マナビ県ペデルナレス市付近を震源とする、マグニチュード7.8の地震。エクアドル危機管理局の公式発表によると、地震による死者は671名、発生後72時間の負傷者は約4900人。発生当初は26カ所の避難所で、約2300世帯が不自由な生活を余儀なくされた。国家開発企画庁の試算によれば、被害総額はGDPの3.3%相当にあたる33.4億ドル(住宅および公共施設13.7億ドル、商業施設10.3億ドル、インフラ関連8.6億ドルなど)にのぼるという。原油価格の低迷で財政に窮していたラファエル・コレア政権は、この状況を受けて公共財政均衡基本法を制定。被災地支援を目的として、輸入・生産された財に対する付加価値税(IVA)を免除することにした。また被災家族への補助金として、1世帯あたり月額100ドルの支給を決めたほか、被災者が新たに住居を賃借する際の家賃補助として月額135ドルを支給するとした。さらに震災被害復興対策基本法を施行し、1年間の時限的な付加価値税率の引き上げ(12%→14%)、個人や法人の収入資産に応じた支援分担金制度の導入などを定めた。中国、チリを始めとする世界各国政府や、IMF、世界銀行などの国際機関から多額の復興支援や融資も受けてはいるが、必要とする復興資金には遠く及んでいない。一方で、そうした融資や臨時の税収が中央政府の財政赤字補填に充てられ被災地の復興支援に回されていない、との指摘もある。震災から約1年が経過して仮設住宅がようやく整備され始め、日常生活は徐々に戻りつつある。しかし上下水道が未完備なうえ避難所も散見され、完全復興への道はほど遠い状況である。