2016年9月18日に実施され、与党「統一ロシア」が勢力を回復し、18年3月に予定されている大統領選挙でのプーチン再選に向け弾みをつける結果となった国政選挙。08年の法改正で下院議員の任期が5年となってから2度目の選挙。当初規定されていた選挙期日より約3カ月前倒しで実施された。また、今回から、小選挙区制と比例代表制を併用する03年選挙時の制度に戻された。前回(11年12月)の選挙では、「統一ロシア」は辛うじて過半数を維持したが、党勢は大幅に後退した(→「ロシア下院選挙(2011年)」)。その後も、ウクライナ危機後の欧米による制裁によって経済の低迷が長期化するなか、同党の支持率は必ずしも好転していなかった。しかし、最低得票率に届かない少数政党が議席を獲得できないという、既存の大政党に有利な選挙制度に加え、都市部を中心に既存の政治制度や政治家への信頼度が低下し、今次選挙では投票率の低下につながった(47.88%、前回比12.33ポイント減)。これらの要因が重なって、与党は組織票を固め、支持基盤が強い地方で善戦。また、クリミア併合などプーチン政権の強硬な対外姿勢が国民から高い支持を得ている一方、野党側が内政・外交で特徴ある政策を示すことができず、政策論争に欠けたことも与党圧勝につながった。450議席のうち、「統一ロシア」が前々回(07年12月)での獲得議席315を上回る343議席(前回比105議席増)を獲得したのに対し、改選前に議席を持っていた他の政党は軒並み議席減となった。このほか、保守派「祖国」と改革派「市民プラットフォーム」の候補、そして無所属候補がそれぞれ小選挙区で勝利し、新たに1議席を獲得した。前回選挙で批判が噴出した組織的な投開票時の不正疑惑に対処するため、投票所に監視カメラが設置されたところ、複数個所の監視カメラに不審な行為が写された。このため、今回もロシアのメディアでは大量不正投開票疑惑が指摘されている(→「反プーチン集会」)。