紛争状態は収拾されたものの、紛争の解決が棚上げになってきた紛争地のこと。ヨーロッパではグルジアの南オセチア、アブハジアと、モルドバの沿ドニエストル(プリドニエストル)、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州を指す。従来、欧州連合(EU)はこうした紛争に関心が薄かったが、2004年の拡大とともに、旧ソ連諸国と隣接することになり、欧州近隣諸国政策(ENP)の対象としてみるようになった。たとえば、モルドバの場合は1992年、ロシア-モルドバ間の合意に基づき合同平和維持部隊が投入された。99年、欧州安全保障協力機構(OSCE)の仲介で、ロシアは2002年までの部隊撤退を約束したものの、その後、分離派側が武器処分を拒否、ロシアも約束履行を引き延ばし続けている。そこで05年末、EUが仲介に乗り出し、分離地域とウクライナ間の国境管理の強化支援策を立ち上げている。08年8月のロシア・グルジア紛争ではEUが停戦合意の監視ミッションを送った。09年5月、EUはこの地域の改革支援を強化する枠組みとして、「東方パートナー」を立ち上げている。