安全保障・防衛分野における一部加盟国による「強化された協力」(enhanced cooperation)の枠組み。リスボン条約で新たに制度化された。強化された協力とは欧州連合(EU)全体としての合意形成が難しい分野に、一部加盟国による先行的な協力を許す枠組みのことである。リスボン条約はこの枠組みを共通外交・安全保障政策(CFSP)、そしてその一部である共通安全保障・防衛政策(CSDP Common Security and Defence Policy)にも拡大した。とりわけもっとも重大な任務を遂行するため、高い基準の軍事能力を持ち、強固な義務を引き受ける意志を持つ加盟国が作る協力枠組みとして盛り込まれたのが常設構造化協力である。その参加基準は、自国の防衛能力を向上させ、少なくとも2010年までに、国連等の要請に対して、5日から30日以内に任務を遂行し、30日から120日間任務を継続する戦闘部隊を提供できることとされた。政策やミッションの決定は全会一致だが、その遂行に関しては、意思と能力のある加盟国グループに先行協力を許し、全体としてヨーロッパの防衛力の合理的な増強を目指している。