2016年7月、ポーランドの首都ワルシャワで開催された北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議。NATOは14年ウェールズNATO首脳会議で、ロシアや中東の脅威増大という環境変化への対応として即応性行動計画(Readiness Action Plan ; RAP)を採択した。ワルシャワでは計画実施の確認が行われ、さらにバルト三国とポーランドへの前進配備の強化が決定された。カナダ、ドイツ、イギリス、アメリカという4つの「枠組み国」が中心となって、大隊レベル(4大隊4000人)の多国籍戦闘グループを組織し、17年初めにローテーション展開を開始する。同時に、ロシアとは対話も行うとして、16年4月に2年ぶりに再開されたばかりのNATO・ロシア理事会(NRC)が、この首脳会議終了直後にも再び開催された。他に、サイバー、情報部門の強化が決められ、正規・非正規の軍事力と情報戦などの非軍事手段を高度に組み合わせたハイブリッド戦争については、対抗戦略と実施計画が採択された。各部門に関してEUとの協力を強化するため、別に共同宣言が出されている。また、過激派組織「イスラム国」(IS)に対しては、直接戦闘は行わないが、大型レーダーを搭載して味方機の指揮管制を行うNATO所属の空中警戒管制機(airborne warning and control system ; AWACS)をシリア上空に飛ばし、対IS有志国連合への情報提供を行うことが合意された。また、アフガニスタンに対しても、現地治安部隊への訓練、軍事支援、財政支援を含む「断固たる支援ミッション(Resolute Support Mission ; RSM)」を16年以降も続けることが確認されている。