トルコと欧州連合(EU)が2016年3月に合意したシリア難民流入規制に関する合意。シリア内戦激化の影響で、15年までに約400万人がトルコなど周辺国に逃れた。難民は、シリア周辺国に滞在していたが、一部難民らが、15年秋頃からEU加盟国であるギリシャに密入国し、その後、陸路でドイツや北欧に移動する手段に出はじめた。総計で約100万人ともいわれる難民がEU諸国に流入したため、通過国及び目的国のドイツ、北欧諸国では治安の悪化、テロリストの混入が懸念されるようになった。また国民の反発も強まった。そのためEUはトルコと、EUに流入した非正規移民と、難民審査認定を受けられなかった庇護申請者をトルコに送還することで合意した。その資金はEUが拠出する。またギリシャからトルコに送還するシリア人1人に対して、トルコ国内のシリア人1人をEU加盟国に定住させる。そしてトルコ国民が査証なしでEUを訪問できるよう目指すことなどが合意の内容。難民のトルコ送還は進んでいるが、EUはトルコ国民に対して、査証なしでのEU訪問を認めておらず、トルコが不満を強めている。合意の結果、ドイツに入国した難民希望者は15年の約89万人から16年には約28万人に減少した。