カスピ海沿岸諸国首脳会合ともいう。アゼルバイジャン、イラン、カザフスタン、トルクメニスタン、ロシアの5カ国の首脳がカスピ海の法的地位の問題などについて協議する会合。カスピ海底には天然ガスや石油が豊富に埋蔵されているため、カスピ海が国際法上「湖」と「海」のどちらに定義されるのか、水域のどこまでを各国の領域とし、湖底と地中の天然資源をどのように分割するのか、法的な地位の確定が大きな懸案事項であり続けてきた(→「カスピ海の法的地位問題」)。2002年4月、トルクメニスタンの首都アシガバードで最初の首脳会合が開かれたのを皮切りに、07年10月にはイランのテヘランで、10年11月にはアゼルバイジャンのバクーでサミットが開催。5カ国は、意見の隔たりを徐々に埋めつつ、安全保障、環境、生物多様性、水文気象、運輸、船舶航行などの問題についても議論と文書署名を重ねてきた。第4回会合は14年9月にロシアのアストラハンで開催され、水域の境界線の画定と経済協力の推進について盛り込んだ共同声明を採択した。湖底と天然資源の分割については棚上げとなったが、カスピ海の法的地位の確定に向けてのブレークスルーとなった。同会合では、スエズ運河経由に代わる物流ルートとして有望な、ヨーロッパからロシアを経由してペルシャ湾へと繋がる南北運輸回廊の重要性、自由貿易地域の創設や5カ国の地域機構化の必要性など、5カ国の経済協力の深化についても議論された。次回会合はカザフスタンがホスト国で開催される。