高齢者居住安定確保法(通称:高齢者住まい法)が、2011年4月に改正された。同法は、国土交通大臣と厚生労働大臣が高齢者居住安定確保に関する基本方針を策定し、都道府県がその具体的計画を策定することを基本に、次の3種類の高齢者賃貸住宅の供給を図るとしていた。(1)高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)―高齢者の入居を拒まない住宅―の登録、(2)高齢者専用賃貸住宅(高専賃)―もっぱら高齢者を受け入れる住宅―の登録、(3)高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)―良好な居住環境を備えた住宅―の認定。しかしこれらの住宅は、医療・介護事業者との連携や行政の指導監督が不十分であることや、高齢者の住まいの制度が複雑であるという問題があった。改正法では、(1)3種別の高齢者賃貸住宅を廃止し、サービス付き高齢者向け住宅に一本化し、都道府県知事の登録制度を創設する。(2)老人福祉法に規定された有料老人ホームも同住宅として登録できる。住宅金融支援機構の保険の特例として、同住宅の入居一時金にかかわるリバースモーゲージ(死亡時一括償還型融資)を同保険の対象に追加する。上記の登録には、ハード面、サービス面、契約内容に関する基準を充足、登録事項の情報開示などの事業者の義務が課される。また、行政による立ち入り検査や業務是正指示などが行われる。