2014年11月26日、最高裁判所大法廷は、投票価値の格差が最大で4.77倍だった13年7月の参院選について、違憲状態と判断した。これで衆参それぞれの選挙について、最高裁が投票価値の著しい不平等状態を、連続して認めたことになる。しかも、この判決で、山本庸幸裁判官から選挙を無効にすべきとする反対意見も示された。違憲状態判決は、国会に格差是正を求める裁判所からのメッセージである。にもかかわらず、一向に是正がなされないことから、無効判決が現実味を帯びてきているのである。14年12月14日に行われた衆院選についても、全国295の全小選挙区について選挙無効の訴えが起こされた。全小選挙区を対象としたのは理由がある。裁判所が「一部選挙区だけ無効にするのは不平等だ」との理由で、事情判決の法理を用いる余地を封じるためである。11年の違憲状態判決で選挙制度の抜本改正を義務づけられてから4年が経つ。そろそろ裁判所は、「3度目の正直」として違憲無効判決を下してほしい。現行憲法が予定する立法と司法との関係に照らし、もはや無効判決を示す潮時である。
→1票の格差