2016年3月施行の「平和安全保障法制」を違憲とし、安保法制による自衛隊の出動などに対する差し止めと、平和的生存権や人格権侵害について国家賠償を求めた裁判。同年4月の東京第一次提訴以来、全国各地で裁判が起こされている。差し止めの対象は、集団的自衛権の行使としての防衛出動、重要影響事態安全確保法に基づく後方支援活動、国際平和支援法に基づく協力支援活動である。ただ、法律が施行されたにとどまる段階で差し止めることができるかが大きな問題である。損害賠償の内容について、原告は次のように主張している。第1に、法律の施行により防衛出動命令の可能性が生じ、国民・市民、基地周辺住民等原告の平和的生存権と人格権が侵害されたとする。第2に、平和安全保障法制という違憲の法律を、正式な憲法改正手続き(憲法96条)を経ずに成立させたことが、憲法制定権・国民投票権を侵害したことも併せてする。