世の中に役立つ(公益)団体の法的な位置づけに関する改革。民法制定(1896年)以来、基本的な見直しがされていない公益法人制度を見直し(民法百年の宿題)、市民活動を促進することに狙いが置かれていた。2006年3月に公益法人制度改革関連3法案が閣議決定され、翌月からの第164回通常国会で成立し、08年12月から全面施行された。改革論議には二つの流れがある。一つには、特殊法人に代わる官僚の天下り先として、あるいは旧KSD(現あんしん財団)の汚職事件など、「補助金流用」や「税逃れ」の抜け道として利用されている「不良法人」をどのように排除するかという問題。今回の改革により、法人格は、登記だけで得られるが原則課税となる一般社団法人・一般財団法人制度が新設される。そのうえで「公益性」の判断は、役所の裁量に左右されやすい主務官庁制を抜本的に見直し、イギリスのチャリティー委員会(→「チャリティー」)のように、第三者からなる有識者会議である公益等認定委員会が公益性を判断し、国・都道府県の認定を受ければ公益社団法人・公益財団法人として税制優遇措置を受けられるようにする。公益法人になじまない業界団体などの共益的な団体は、一般社団法人か一般財団法人に移行する。二つ目は、1995年の阪神・淡路大震災を機に強まった「公共の再編」論の一環として「世の中の役に立つことは官が、私的な利益は民が」という官民型社会から、「市民が公共性を紡ぎだす場」としての「共」や「私」からなる市民社会の力を強め、公・共・私型社会へと変えていこうという議論である。このような配慮から、NPO法人や社会福祉法人、学校法人などの特別法によって設立された公益法人は存続することになった。