石綿による健康被害の救済に関する法律。アスベストを吸い込んだアスベストメーカー従業員や家族、周辺住民らが、がんの一種の中皮腫や肺がんなどで死亡した事例が表面化した問題への対応として、2006年3月に施行された。労災補償の対象にならない工場周辺住民や従業員の家族などのアスベスト健康被害認定患者に対し、独立行政法人環境再生保全機構を通じて救済給付金を支払うとした。費用は国と地方自治体、企業が拠出する。中皮腫と肺がんの認定基準と給付額を政令で定め、治療中の被害者には医療費の自己負担分と月10万円の療養費を、死亡した被害者の遺族には弔慰金280万円と葬祭料20万円の計300万円を支払う。労災補償を受けずに死亡した労働者の遺族には、特別遺族年金(年240万円)などの特別遺族給付金を支払う。一方、厚生労働省が公表した「2016年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場」は895事業場。うち648が新規。事業場名、住所、作業状況等の情報を公表し、過去に働いていた労働者への注意喚起、周辺住民の健康状態の確認、関係省庁や地方公共団体等への情報提供を目論む。2005年の第1回公表以来のべ12324事業場が公表された。