紙は江戸時代から数百年の歴史があるリサイクルの優等生であるが、近年、市町村のごみ減量の取り組み、容リ法の実施などで市場に流入する古紙が増えたため、慢性的な供給過剰となり、価格が低迷したり、輸出のストップの事態が起きたりしている。輸出による受け入れ先の確保、新しい用途開発などの対策が必要である。一方、中国などで古紙需要が拡大すると、国内の供給が不足することになる。2003年のトイレットペーパーの価格上昇は、中国の古紙需要が急増し、日本からの輸出が増えたためとされる。古紙の値段が上がると、集積所の古紙を無断で持ち去る業者も現れて問題になっている。日本では、古紙利用を促進するため、官公庁で使用するコピー用紙や報告書などの文書に、古紙配合率が一定以上の再生紙の使用をグリーン購入法(→「グリーン調達」)で義務付けているが、08年1月には製紙会社による古紙配合率偽装が発覚し、問題となった。この問題をきっかけに、グリーン購入法で定めている基準のあり方なども問題になった。例えばグリーン購入法では官公庁に納めるコピー用紙の古紙配合率を100%としていたが、白色度など品質に対するユーザーの要求に応えるため、漂白などの工程で消費する燃料の増大などがかえって環境負荷を増加させている、また、林業で発生する間伐材や端材を製紙原料として有効利用すると古紙利用率が下がってしまう、などの意見が出た。これらの意見を踏まえて環境省は08年末にグリーン購入法に基づく基本方針で定めた基準を現行の100%から最低70%に緩和し、間伐材なども原料に利用することを認める方針を固めた。古紙を原則として40%以上原料に利用した用紙(トイレットペーパーとちり紙は原則100%、コピー用紙と新聞用紙は原則50%以上)にはグリーンマークが付けられている。