水銀と水銀化合物の人為的な排出から人の健康と環境を保護することを目的に、水銀の採掘、使用、輸出入、大気排出などを国際的に規制する条約。水俣病を教訓に、同様の被害を繰り返さないという日本政府の提案を受け、名称が決まった。2013年10月、日本がホストを務めた国連環境計画主催の外交会議(熊本市、水俣市)において採択。17年8月16日に条約発効。水銀一次鉱山(水銀の一次生産を目的とする鉱山)は禁止され、既存鉱山は発効後15年で禁止。水銀の輸出は条約で認められた用途に限られ、輸入国の事前同意が必要となる。また、電池、蛍光灯、温度計など水銀添加製品の製造、輸出、輸入は20年以降原則禁止され、禁止された水銀添加製品が製品に組み込まれることを防ぐ措置を講じる義務が課される。製造プロセスにおける水銀利用の禁止と使用量の削減、さらに、石炭火力発電所や産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄精錬所、セメント製造施設等を対象に排出削減対策の実施が求められる。