2008年に制定された鳥獣被害防止特措法(鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律)に基づいて行う鳥獣類の捕獲のこと。地域での適正な個体数を維持するための捕獲を管理捕獲として認めることになった。1980年代後半から全国各地でシカ、イノシシ、サルなどの大型の野生動物が激増し、農林業等への被害や自然植生への影響が深刻化したことから、被害防止対策の一環として実施されている。市町村が被害防止計画を作成し実施するが、計画策定に当たっては特定鳥獣保護管理計画と整合をとることになっている。現状では野生動物の個体数の把握が困難で管理捕獲の目標数値に異論が多く、また伝統的な狩猟と管理捕獲の位置づけが不明瞭なまま、捕獲事業が先行しており、さまざまな課題が噴出してきている。懸賞制度により大量に捕獲されるシカが、尾だけを切り取られ死体は山中に放置されるなど、捕獲後の処理、有効利用も今後の課題である。鳥獣被害防止特措法は2016年に改正され、自治体が策定する被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲に従事する人は銃所持許可更新などに必要な技能講習の免除措置が延長されることとなった。また、必要な場合、被害防止計画に「鳥獣被害対策実施隊の設置を記載すること」と国等の支援の努力義務が盛り込まれ、捕獲した鳥獣の食品としての利用などを推進することとなり、そのために必要な施設整備や関係主体の連携強化、人材育成技術開発の推進等が盛り込まれた。