これまで日本の人口構成は比較的若く子どもを産む年齢の人口が多かったため、出生率が人口置換え水準以下にあっても人口は増え続けた。しかし低出生率が長く続き、増加の潜在力を全部吐き出して、2005年から人口減少に転じた。この潜在力を人口モメンタム(人口増加潜在力)という。計算方法は次の通り。出生率が直ちに人口置換え水準になり、以後年齢別死亡率とともに一定で推移し、移民がゼロと仮定した場合、究極的に(大体2080年頃から)人口は安定する。人口モメンタムとは、その安定人口数を出発点の人口数で割った商である。20世紀後半、日本の人口モメンタムは1を上回っていたが、1995年に1.01となり2009年は0.83となった。これは、出生率が人口置換え水準(日本は09年に2.07)に回復し、その後一定であっても、09年人口の83%にしか戻らないことを意味する。