人口において出生という事象が起こる頻度や傾向を数量的に水準として表したものを出生力という。以前は出産力ともいったが、出産には死産も含まれるため、現在は出生力という語が定着している。出生力の表現の一例として、多産や少産がある。出生力を計測するための尺度や指標のうち、通常1年間における出生の頻度を率(rate)として示したものを出生率という。出生率には、分母、分子の取り方によって次のような種類がある。(1) 粗出生率=全出生数÷全人口、(2)年齢別出生率=女性の年齢別出生数÷女性の年齢別人口、(3)有配偶出生率=有配偶女性の出生数÷有配偶女性人口、(4)合計特殊出生率=年齢別出生率の合計、など。粗出生率は普通出生率、あるいは単に出生率ともいう。粗出生率は最も簡便な指標であるが、人口の年齢構成の影響を受けるため、異なる年次や地域間での比較には適さない。また、合計特殊出生率は、年齢構成の影響を受けることなく出生力を要約できるという利点がある。日常的には出生力と出生率は同義語として用いられることが多いが、前者は概念、後者は指標という違いがある。