人口において死亡という事象が起こる頻度や傾向を数量的に水準として表したものを死亡力といい、裏返して寿命ともいう。死亡力の表現の一例として、多死や少死がある。死亡力を計測するための尺度や指標のうち、通常1年間における死亡の頻度を率(rate)として示したものを死亡率という。死亡率には、分母、分子の取り方によって次のような種類がある。(1)粗死亡率=全死亡数÷全人口、(2)年齢別死亡率=年齢別死亡数÷年齢別人口、(3)年齢調整死亡率、などである。また、ある年齢の人が平均してあと何年生きるかを示したものが平均余命であり、特に0歳の平均余命を平均寿命という。粗死亡率は普通死亡率、あるいは単に死亡率ともいう。粗死亡率は最も簡便な指標であるが、人口の年齢構成の影響を受けるため、異なる年次や地域間での比較には適さない。一方、平均余命には年齢構成の影響を受けることなく死亡力を要約できるという利点がある。日常的には死亡力と死亡率は同義語として用いられることが多いが、前者は概念、後者は指標という違いがある。