人口学の定義では、出生国と異なる国に住んでいる者、またはその行為である国際人口移動(international migration)を指す。ただし、観光や出張など短期の旅行者は含まない。一国を基準として見た場合、自国から国外に移住する者(emigrant)またはその行為(emigration)を「出移民」といい、国外から自国に移住する者(immigrant)またはその行為(immigration)を「入移民」という。入移民数から出移民数を差し引いたものを純移動(net migration)数という。一般に経済的に貧しい国から富める国に向かって移動が起こることから、純移動数は先進国ではプラス、開発途上国ではマイナスの数値になることが多い。また入移民が多い国を「移民受け入れ国」、出移民が多い国を「移民送り出し国」という。日本は1970年代に送り出し国から受け入れ国へと移行した。移民の目的あるいは種類には、就労、結婚や家族呼び寄せなどの家族形成、難民などがあるが、最も注目されるのは就労目的の移民、つまり国際労働移動である。日本は深刻な人口減少に直面しており、その対策として大量の移民受け入れが議論されているが、社会的・文化的摩擦や新たな階層形成の懸念など課題も多い。