男女のカップル形成意欲・行動が活発である、カップルはいつも一緒にいたいと願う、楽しいことはカップルで共有するといった特徴を持つ文化のこと。この文化はフランス、イギリスなど北西ヨーロッパ諸国とアメリカなどイギリス系の移民が建国した国々で強く、日本、韓国など東アジア諸国で弱いとみられる。前者では、「家」や親子というタテの関係よりカップルというヨコの関係が重視され、青少年期から積極的に異性と交際し、早く親の家を出て自らの家族を形成することが期待される。アメリカやカナダの高校でみられるプロム(prom)と呼ばれる、カップルで参加するダンスパーティーはその好例である。後者、とりわけ日本では子どもが親の家を出る年齢が比較的高く、異性交際も低調で、同棲も少ない。結婚しても夫婦で一つのことを楽しむというより、男、女それぞれのグループで行動する傾向がある。1986年の流行語大賞銅賞「亭主元気で留守がいい」などは象徴的である。カップル文化が強いとみられる国では同棲カップルによる婚外出生が多く、このことによって出生率が比較的高く保たれている(緩少子化)のは注目すべき現象である。緩少子化と超少子化の違いをもたらす原因として、こうした歴史的・文化的背景が重要であることを示唆している。