食品を缶に詰めて密封し、加熱殺菌を施した、長期保存が可能な食品。JAS法に基づく品質表示基準や食品衛生法などで定められている。缶詰の歴史は古く、今から約200年前、フランス人のN.アッペールによって発明された。当時の将軍、ナポレオンが出した懸賞の当選作だった。その懸賞は、軍隊用食品を腐らせずに長期保存する技術を開発せよ、というものである。アッペールは食品をビンに詰め、加熱して空気を追い出して密封すれば中身の食品は腐らないということを発見した。当時は、微生物が腐敗の原因であるとはまだ知られておらず、腐敗の原因は空気にあると信じられていた。その後、イギリスで、ビンの代わりに缶を使うことが発明され、缶詰が登場した。日本における缶詰の生産は、レトルト食品が登場してから減少しているが、2011年時点でも食肉缶詰約7000トン、水産缶詰約10万トン、果実缶詰約3万トン、野菜缶詰約5万トンの生産がある。2011年の東日本大震災の影響から、家庭での非常食としての備蓄が広がったこともあるが、120℃で高温殺菌することによる、缶詰独特の風味が好まれている面もある。最近では、缶詰バーという、缶詰食品だけを提供する形態の店も人気がある。