東京都、大阪府などの都市部とそれ以外の県の税収格差が著しく拡大している。特に法人事業税、法人住民税において顕著になっている。そこで、2008年の税制改正で法人事業税の一部、約2.6兆円(地方消費税1%相当分)を国に移転することにした。これが地方法人特別税。この税収は、地方法人特別譲与税として税収の2分の1を人口で、残りの2分の1を従業者数で都道府県に分配する。これにより東京都などに入っていた税収が地方の県に移転した。ただし、税制の抜本的な改革をして、偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の措置とされている。地方税として消費に課税する地方消費税は14年4月1日から0.7%(1%→1.7%)アップした。さらに17年4月1日から0.5%(1.7%→2.2%)アップすることが予定されている。地方消費税の税率アップ分を合計すると1.2%になる。そこで、14年度の税制改正で地方法人特別税を縮小した。具体的には、14年10月1日以後に開始する事業年度から地方法人特別税、地方法人特別譲与税の規模を縮小し、法人事業税に復元した。しかし、地方消費税の税収自体に地方間の格差があるので、地方消費税の税率をアップしてもその格差は埋まらない。そこで、法人住民税の一部(法人税割)の税率を引き下げ、その税額に相当する税収の獲得を目的として国税としての地方法人税を創設した(税率4.4%)。地方法人税の税収は地方交付税の原資とする。地方交付税は、東京都のような財政力のある地方団体には交付しないので、東京都は地方法人税の導入前に比べて法人住民税の収入が減少している。15年度の改正では、法人事業税の外形標準課税の付加価値割と資本割の税率を引き上げ、所得割の税率を引き下げた。地方法人特別税は、所得割の一部が充てられている。この財源を減らさないために、外形標準課税で課税する資本金1億円を超える普通法人の地方法人特別税の税率を、「67.4%」から15年度は「93.5%」に、16年度は「152.6%」にアップした。16年度の税制改正は、法人事業税の外形標準課税について、付加価値割と資本割の比率を高め、所得割の比率を低くした。これに伴い、資本金1億円を超える普通法人の16年度の地方法人特別税の税率を、「152.6%」から「414.2%」に改正した。(→「住民税」)