法人事業税に所得以外の基準を課税対象として課税する方法のこと。長い間、所得金額だけに課税していたが、この方法では赤字法人の税額はゼロになるので外形標準課税を導入した。ただし、中小法人の税負担が重くなるので、資本金が1億円以下の法人、協同組合などは除外している。これらの法人は所得金額に課税する。外形標準課税は、付加価値割、資本割、所得割にそれぞれの税率を掛けて合計する。付加価値割の課税対象は付加価値額で、報酬給与、純支払利子、純支払賃借料、単年度損益の合計額のこと。資本割は期末の資本金等の額に課税する。資本金等の額とは、資本金にたとえば株主等が払い込んだ金額で資本金としないものなどを合計した金額のこと。所得割は所得金額に課税するが、法人税の所得金額に類似するもの。2015年度の税制改正前の付加価値割・資本割(狭義の外形課税)と所得割の税収の構成比は25%対75%になっている。安倍内閣は経済を活性化するために法人税率(法人事業税の税率、法人住民税の税率を含む)の引き下げを進めている。そこで、15年度においては、付加価値割・資本割と所得割の税収の構成比が37.5%対62.5%になるように、付加価値割・資本割の税率を引き上げ、所得割の税率を引き下げた。さらに、16年度においては、付加価値割・資本割と所得割の税収の構成比が50%対50%になるように、税率を変更した。さらに、16年度の税制改正では、法人税率を引き下げることに合わせて、「50%対50%」を「62.5%対37.5%」になるように、税率を変更した。ただし、地方団体間の税収格差を是正するために地方法人特別税(→「地方法人特別税/地方法人税」)が設けられており、所得割の税率の引き下げに伴い、外形標準課税対象法人の地方法人特別税の税率をアップする。つまり、外形標準課税対象法人の法人事業税と地方法人特別税を合計すると増税になる。そこで、外形標準課税対象法人の負担増を緩和する措置を講じた。企業が安倍内閣が進める賃金を増加する政策に賛同して賃金をアップした場合には、付加価値割の税率がアップするので納税額が増加する。そこで、付加価値割の計算において、法人税の所得拡大促進税制に類似する制度を導入した。さらに、税率の組み替えに伴う負担変動の軽減措置を2事業年度において講じた。16年度の税制改正で、たとえば16年4月1日から17年3月31日までの間に開始する事業年度においては、付加価値額が40億円未満の法人について、改正後の規定に基づいて計算したその事業年度の事業税額が、16年3月31日における税率で計算した金額を超える場合には、(1)付加価値額が30億円以下の法人は、その事業年度に係る事業税額から、その超える金額の4分の3を控除した金額とし、(2)付加価値額が30億円超40億円未満の法人は、その事業年度に係る事業税額から、その超える金額に付加価値額に応じて4分の3から0の間の割合を乗じた金額を控除した金額とする。17年4月1日から18年3月31日までの間に開始する事業年度においても同様の特例を設ける。