所得税は、ある人がその暦年に稼得したすべての所得を合計し、累進税率で課税する。このように事業、配当、給与などの所得を合算して課税する方法を総合課税という。総合課税は、税が富の再分配機能を果たすためには欠かせない課税方法。しかし、例えば30年間勤務して退職した時に受け取る退職金1500万円と1年間働いて得た給与1500万円に同じ累進税率を適用することは適当ではない。なぜならば、退職金は30年かかって得たものであり、1年に引き直すと50万円にすぎないからである。そこで、退職金については、他の所得と分離し、税負担が軽くなるような課税システムにしている。これが分離課税。分離課税には、利子所得のように金融機関が20.315%(復興特別所得税、住民税を含む)の源泉徴収だけで課税関係を終了させる源泉分離課税と土地を譲渡した場合のように確定申告が必要な申告分離課税に分かれる。(→「上場株式等の譲渡益課税」)