2014年の公的年金の財政検証に加えて行われた、年金制度の課題の検討に役立てるための検証作業。14年の財政検証により基礎年金の水準が大きく低下することが問題になった。この問題に対応するために、(1)デフレ期のマクロ経済スライド(→「マクロ経済スライド方式」)の適用、(2)短時間労働者への厚生年金適用拡大、(3)60~64歳を国民年金の加入期間にする、という3つの政策オプションの効果が計算された。それぞれの内容について説明すると、(1)現在、インフレ期しか適用されないマクロ経済スライドをデフレ期でも適用することによって、確実に年金の給付水準を抑制すること、(2)基本的にすべての非正規・短時間労働者に厚生年金を適用し、安定した年金財政を確保し、同時に多くの人が基礎年金と報酬比例年金という2階建て年金(厚生年金)を受け取れるようにすること、(3)現在20~59歳までの加入を義務付けている国民年金の加入期間を20~64歳まで、5年間延長すること、である。これらの改革が行われれば国民年金の財政は改善され、基礎年金に対するマクロ経済スライドの適用期間は短縮され、年金水準の低下は抑制できる見通しになっている。