道路・公園等のオープンスペースが不十分なまま、幅員の狭い路地に接する狭小な敷地に高密度に老朽化した木造建築物などが建ち並んだ市街地をいう。地震等の災害時に、家屋倒壊や火災延焼等の危険性が高いことに加え、道路が狭いため消防活動や避難が難しいことから、多大な被害の発生が想定されており、密集市街地の改善は、早急に改善すべき防災上の課題となっている。実際に、1995年の阪神・淡路大震災においても、木造密集市街地に多大な被害が発生した。特に古い密集市街地では、現行の都市計画法や建築基準法による建築規制が設けられる以前に建てられたことから、現在の法制度には適合していない既存不適格建築物が多く存在している。密集市街地には、建築基準法が施行される以前から存する、幅員4メートル未満の狭い道路に接した狭小な敷地が多く、建て替えが困難な場合も多いことから、建築規制の特例制度の活用等により、住環境の改善に取り組んでいる地域もある(→「接道義務」)。
東京では、山手線の外周部を中心に、関東大震災や第二次世界大戦の被害を受けず、高度経済成長期に無秩序に建物が造られた木造住宅密集地域(木密地域)が広がっている。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、1995年、東京都は、「防災都市づくり推進計画」(2010年1月改定)を策定し、震災時に甚大な被害が想定される整備地域として28地域・約7000ヘクタール、そのうち、基盤整備事業などを重点的に展開し早期に防災性の向上を図ることとしている重点整備地域として11地域・約2400ヘクタールを指定し、市街地の防災性向上に取り組んでいる。特に、東日本大震災後、東京都では、震災発生時に甚大な被害が懸念される木造住宅密集地域の不燃化の取り組みを加速させるため、「木密地域不燃化10年プロジェクト」を新たに立ち上げている。