複数の同種もしくは異種の外力によって被害が発生する災害。同種の例は2005年のハリケーン「カトリーナ」と「リタ」による被害であり、古くは1953年の台風13号と59年の伊勢湾台風高潮災害があげられる。伊勢湾台風が5101人の犠牲者を出したのは、その6年前の台風被害を受けた海岸堤防などの復旧事業が進んでいなかったことが大きく原因している。異種は、東日本大震災における地震、津波、原子力事故がその例であり、今後の余震の起こり方や被災地への台風の上陸、集中豪雨や豪雪の発生によって新たな複合災害の内容の追加が起こる危険性がある。被害に極端な差がある場合、小さい方を二次災害と呼ぶ。地震の後、火災が発生しても火災被害が地震被害に比べて小さければ二次災害となる。複合災害の場合、複数の外力によって、それぞれが単独で発生する場合よりも被害が増幅するという特徴がある。例えば、首都直下地震で堤防が被災した荒川や利根川で、洪水はん濫災害が起これば、未曽有(みぞう)の被害となることが懸念されている。最悪の被災シナリオを考える中で、発生確率がたとえ小さくても、複合災害を検討しなければならない。