東京首都圏で起こる内陸地震。200年から300年間隔で発生する関東大震災(1923年)のようなマグニチュード(M)8クラスのプレート境界地震の間に、M7クラスの内陸直下地震が数回起こることが歴史的にわかっている。2013年12月20日に首都直下地震対策検討ワーキンググループによって、被害想定結果が発表された。それによれば、都区部直下の地震マグニチュード7クラスの地震として、都心南部直下地震(モーメントマグニチュード7.3)が対象とされた。14年現在、30年以内の発生確率は70%と評価されており、いつ起きてもおかしくない状態である。中央防災会議や検討ワーキンググループによれば、首都中枢機能への影響や巨大過密都市を襲う被害、そして経済被害は被災地外の全国、海外へと広域に波及することがあげられている。また、13年12月に公表された想定被害の概要は、都心南部直下地震が冬の18時に発生した場合、風速毎秒8メートルの条件で死者2万3000人、避難者数は約720万人、帰宅困難者は490万人、がれきの発生9800万トン、経済被害額95兆円(直接被害47.4兆円、間接被害47.9兆円)である。これらは、最大約61万棟に達する老朽住宅の倒壊危険性や火災によって大部分発生する。したがって、対策は、建築物の耐震化、火災・避難者・帰宅困難者対策、企業防災力向上で構成され、社会全体で取り組む国民運動の展開に拡大する必要がある。