津波防災を進めるために設けられた基準の二つの津波。東日本大震災では、千年に1度と言われる想定外災害となったために、未曽有の被害を出した。このため、中央防災会議専門調査会では、(1)数十年から百数十年に1度程度の頻度で再来するL1津波に対しては、海岸構造物などを設けて被害を出さない防災を目標とする、(2)数百年から千年に1度程度の極めて低頻度で発生するL2津波に対しては、多重防御によって避難を容易にして犠牲者を最小化する減災を目標とする、という二つの基準を設定した。これらの基準は、避難勧告や避難指示が発令された場合、避難することが基本前提となっている。したがって、従来の津波防潮堤だけでなく、防潮林や盛土構造の鉄道、道路などを組み合わせた多重防御と、土地利用規制による津波に対して粘り強い地域づくりを目指すことになる。この震災がきっかけとなって整備された「津波防災地域づくりに関する法律」(2011年12月施行)はこれらの趣旨を法的に保障するものである。