第70回国連総会本会議(2015年12月22日)で、日本政府が提唱した「世界津波の日」を定める決議が全会一致で採択された。この決議は、第3回国連防災世界会議および持続可能な開発のための2030アジェンダのフォローアップとして、我が国をはじめ142カ国が共同提案したもので、11月5日を「世界津波の日」として制定するものである。この決議により、津波の脅威について関心が高まり、その対策が進むことが期待される。決議の具体的な内容としては、(1)11月5日を「世界津波の日」として制定すること、(2)早期警報、伝統的知識の活用、「Build Back Better(創造的復興)」を通じた災害への備えと迅速な情報共有の重要性を認識すること、(3)すべての加盟国、組織、個人に対して津波に関する意識を向上するために、適切な方法で「世界津波の日」を遵守することを要請すること、などを含んでいる。また、11月5日を指定する理由は、1854(安政元)年11月5日に和歌山県で起きた安政南海地震に伴う大津波の際に、広村の濱口梧陵(ごりょう)が収穫した稲むらに火をつけることで早期に警報を発し、避難させたことにより村民の命を救ったという「稲むらの火」の逸話と、その後、自助と共助によって津波防波堤を建設し、村人の生活再建を実現させ、1946年昭和南海地震の津波による死者をゼロとした「百年後のふるさとを守る」逸話という、二つの史実に由来している。日本政府はこれにちなんで、津波防災などで功績のあった個人や団体を表彰する「濱口梧陵国際賞」を2016年に創設した。