脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞などの原因となる血栓を溶解したり、できにくくする薬。いったんできた血栓を手術などで取り除いた後、再形成予防用に処方する薬剤として、ヘパリン、ワルファリン、合成抗トロンビン薬(ガベキサート、ナファモスタット、アルガトロバン)、抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、シロスタゾール、オザグレルなど)、合成Xa阻害薬(フォンダパリヌクス)がある。ワルファリン錠はよく効くが、薬物相互作用をもち、取り合わせの悪い他の薬剤を誤って併用すると出血、あざなどの副作用を招く。アスピリン錠には、消化管出血の副作用があり、最近はそれを逆利用して、少量投与で抗血栓薬剤代わりにすることも多くなった。このほか、積極的に血栓を溶かす薬物もある。血中たんぱく質分解酵素プラスミンを活性化するt-PA(組織型プラスミノーゲンアクチベーター)、ウロキナーゼなどの酵素の注射剤を、梗塞のできた毛細血管へカテーテルで注入すると、心筋梗塞、脳梗塞の発作後3時間以内の治療なら、100%に近い確率で血栓を溶解できるといわれている。