ペットを失うことによって陥る、うつ病を始めとした様々な心身の不調。最近では、少子高齢化社会を反映してペットは家族同然という家庭が多く、典型的には高齢者夫婦がペットと寝食を共にするなど、ペットを子や孫と同様に扱う。こうした場合にペットの死は、家族の死と同じように深刻な打撃を与える。つまりペットロス症候群とは、ペットとの死別というストレスが契機となって発症する精神的な病気で、一種の死別反応である。多かれ少なかれ抑うつ感をともなうが、中には深刻なうつ病になる場合もあるので、状態に応じて精神科医など専門医に相談する必要がある。治療は抗うつ薬を中心とする薬物療法と、心理療法(グリーフケア)が行われる。日本では2000年以降に注目を集めるようになったが、アメリカでは1990年代ごろから話題にのぼっていたとされている。