小児の発達期に明らかとなる、コミュニケーション障害と反復的行動・興味を特徴とした疾患。2013年に改定された精神疾患の診断統計マニュアル「DSM-5(精神障害診断基準)」において、従来の自閉症、アスペルガー症候群、発達障害を一括して自閉スペクトラム症とされた。症状としては、他人の心情を理解し、状況に応じて臨機応変に関心や行動を変えることへの不適応などがあげられる。知能や言語の障害を合併する場合も少なくない。男性に多く、一般人口における有病率は1%前後とされている。原因に関してもさまざまな研究報告がなされているが、不明な点が多い。治療は心理社会的療法が中心である。症状の改善にオキシトシンが有効という報告もあるが、15年の時点で有効性と安全性の確立した薬はまだない。