悪性リンパ腫には免疫にかかわるTリンパ球、Bリンパ球それぞれの細胞が腫瘍化してTリンパ腫、Bリンパ腫となる。ホジキン病もリンパ節原発の腫瘍であるが、母細胞は不明である。悪性リンパ腫は、細胞の分化段階に対応する特有の病理組織型を示す。Tリンパ球の幼若な段階に対応するリンパ芽球性リンパ腫は子どもに多く、より成熟した末梢Tリンパ腫は大人に多い。Tリンパ球は様々なサイトカインを出すために、高ガンマグロブリン血症や好酸球の増多などを伴うこともある。レトロウイルスHTLV-1による多型性T細胞性リンパ腫や白血病も、末梢性Tリンパ腫の一つである。悪性リンパ腫は甲状腺、鼻腔、胃、腸などのリンパ節外にも慢性炎症を背景に発生する。悪性リンパ腫の治療は、化学療法と放射線療法が主力であるが、キメラ抗体、イムノトキシン、ラジオイムノ複合体といったリンパ腫細胞の膜抗原を標的にした免疫療法も成果を上げ始めた。