免疫療法とは、免疫を担当するリンパ球や組織球を強化し、それらが出すサイトカインや抗体によってがんを抑える治療法である。胃がん、結腸がん、直腸がん、小細胞肺がん、成人骨髄性白血病、腎臓がん、多発性骨髄腫、悪性黒色腫など多くのがんが対象になっている。手術切除したがんに組織球(マクロファージなど)やリンパ球の浸潤が強いと患者の予後がよく、がんを抑える免疫が働いているのではないかと考えられてきた。免疫機能が落ちる高齢者にがんが増えること、臓器移植やエイズで免疫力が弱くなるとがんになりやすいことも、がんと免疫の関係を示している。がん細胞は免疫を抑える物質も作るので、がんを手術切除すると免疫機能が復活し、体内に残ったがん細胞が排除されて再発が抑えられる。手術後1~3年の間に再発する患者は免疫機能が弱く、がん細胞を排除できないためだと思われる。多くの免疫療法では、活性リンパ球を注入する方法が取られる。また、子宮頸部がん予防のために、原因の70%を占めるといわれるヒトパピローマウイルスに対するワクチンが開発され、アメリカでは使用が許可された(→「子宮頸がんワクチン」)。