皮膚にはメラノーマや扁平上皮がん(有棘細胞がんと基底細胞がん)、汗腺の腫瘍、悪性リンパ腫など、多種多様な腫瘍が発生する。人種差や地理的分布の違いが大きい。紫外線による扁平上皮がんは、日光角化症を経る高齢者に多いがんである(→「紫外線と皮膚がん」)。扁平上皮がんは、油をあびる機会が多い人など産業曝露によるものもある。やけどや外傷の跡もリスクになる。若年の皮膚がんとして色素性乾皮症がある。これはDNA修復酵素が先天的に欠如しているために、紫外線により皮膚がんを起こす。遺伝子の相補性によりいくつかの亜型が決められている。上皮内がんの状態のものにボーウェン病がある。菌状息肉腫は皮膚に原発する悪性リンパ腫で、T細胞系の腫瘍である。老人に多く、経過は緩慢である。成人T細胞白血病の場合も皮膚病変から始まることがあり、その場合は皮膚症状の消退がある。まれながんとして会陰部や乳房のパジェット病がある。