合併症とはもともとの病気や、治療などの処置が前提となって生じる病態や疾患のこと。そのうち早期合併症と呼ばれるものは、例えば手術後早期に、手術そのものに関連して起こる肺炎や術後出血、縫合不全、創感染などである。晩期合併症は退院後に見られる障害で、数カ月から数年経過したのちに起こり、障害が長く残る場合もある。胃の手術後、摂取した食物が急速に小腸に流れ込んで引き起こされるダンピング症候群や、胃切除後の貧血、逆流性食道炎などがあげられる。比較的早期の食道がんには化学放射線療法が行われ、手術に匹敵するような成績が得られるようになったが、晩期合併症として、治療後数カ月から数年後に、胸水や心嚢(しんのう)液の貯留、不整脈を招くことがある。化学療法後の急性骨髄性白血病や不妊症、放射線照射で誘発される肉腫、頸部放射線照射後の甲状腺機能低下症なども晩期合併症にあげられる。