鼻腔後方から食道へと続く咽頭に発症するがん。中咽頭は口を開いた突きあたりで、口腔との境界に口蓋扁桃(扁桃腺)があり、舌根部が下部前壁になる。そこから上方へ向けて鼻腔までの部分が上咽頭で、中耳腔への耳管が開口している。後上壁には咽頭扁桃(アデノイド)がある。中咽頭の下方が下咽頭で、喉頭や食道につながっている。上咽頭がんは放射線に対する感受性が高く、標準的治療は放射線治療である。化学療法にも感受性があることから、化学療法との併用による治療成績向上が期待される。中咽頭がんも放射線感受性が高いので、臓器を温存できるという意味で放射線治療が望ましいが、再建方法や切除手技の工夫により、外科治療の適応も拡大されている。下咽頭がんに対しては、早期の症例では喉頭温存の外科治療と放射線治療の併用、進行症例は外科治療となる。