皮膚内部や皮下の腺に発生する、まれな皮膚がん。乳頭部にできる乳房パジェット病と性器周辺や肛門周囲、あるいは腋窩(えきか)に発生する乳房外パジェット病とに分けられる。乳房パジェット病は、乳頭近くの乳管上皮から発生し、乳頭表面皮膚に進展する。乳がんの特殊型であり、治療は乳がんに準じる。乳房外パジェット病は、60歳以上の男性に多く、約8割以上は外陰部に見られる。パジェット細胞といわれるがん細胞が表皮に広がり、かゆみや痛みなどの皮膚症状を引き起こす。初めは平らな赤い斑点として見られ、白く抜けたり薄茶色になったりするが、進行するとただれたり、じくじくとした滲出(しんしゅつ)液が出たり、かさぶたが付着するようになる。表皮に限局するものは予後良好であるが、深く進展すると不良である。