骨そのものからできる悪性腫瘍である、原発性悪性骨腫瘍の一つ。日本では骨肉腫、軟骨肉腫に次いで、3番目に患者数が多い。10歳代の小児に好発し、四肢だけでなく、脊椎や骨盤などにも発生する。近年、EWS-FLI1やEWS-ERGといった染色体転座による腫瘍特異的な融合遺伝子が発見され、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET ; primitive neuroectodermal tumor)と共通遺伝子を有することが判明し、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT ; Ewing's sarcoma family of tumors)と総称されるようになった。骨肉腫と同様に、遠隔転移を起こしやすく、悪性度が高く、急速な進行をしていたが、現在は術前・術後化学療法、手術療法、放射線療法などによる集学的治療が確立され、治療成績が向上してきた。初診時肺転移のないESFTの5年生存率は、50%を超えるようになった。骨肉腫よりも放射線感受性が高いので、切除不能な場合には、根治照射が行われる。また、切除不能例や初診時肺転移のある予後不良症例には、十分な有用性は確立されていないが、末梢血幹細胞移植を併用した高用量化学療法(大量の薬物を集中的に投与する治療法)が試みられている。