遺伝子BRCA1もしくは遺伝子BRCA2の病的変異が原因で、乳がんや卵巣がんなどを高リスクで発症する遺伝性の疾患。このように、遺伝的な要因が強く関係していると考えられる乳がんや卵巣がんは、全体の5~10%程度存在するが、その中で最もよく知られている。他にも、乳がんを発症する危険性の高い遺伝性腫瘍には、リ・フラウメニ(Li-Fraumeni)症候群やカウデン(Cowden)症候群などがある。若年発症の乳がん、同時や異時の同側あるいは対側乳がん、乳がんだけでなく卵巣がんの既往歴もある場合は、HBOCを考えなければならない。このBRCA1・2遺伝子の病的変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で遺伝する。ただし、乳がんや卵巣がんが多発する家系に属していても、必ずしも遺伝子変異が見つかるわけではなく、その確率は約二十数%と言われている。変異遺伝子をもつ女性全員が、がんを発症するわけでもない。ただし、若年発症や生涯発症のリスク、最初の発症から次に同がんを発症するリスクなどが高いので、遺伝子カウンセリングを受けることが勧められる。